也田貴彦blog

おもに文学やお笑いについて。

M-1グランプリ2017敗者復活戦 感想

1、ランジャタイ。個人的に最近大注目しているコンビ。しょっぱなから無茶苦茶なネタw さよならポンポン、575シチシチィ!!狂気の繰り返し。クスリでもやってるんじゃないかと思わせる危うさが魅力の、漫才界のアウトサイダー

2、笑撃戦隊。入り方が新しい。「刑事の取り調べやりたい」「野球のヒーローインタビューやりたい」、それぞれではベタな漫才コントだけど、2ついっぺんにやるという発明。ボケとツッコミの順序を逆にする代表作を含め、いろんな方法論を生み出していて感心する。

3、からし蓮根。自転車担いでるとか、蹴った後の「爪きれいね」とか、光るボケがいくつもある。ツッコミの間合いもうまい。ただ高校生の恋愛という設定がベタすぎて印象には残りにくい。

4、Aマッソ。女性漫才師としては貴重な、ワードセンスとシュールな設定で勝負するコンビ。今回も「文化に触れな侍」という得体の知れない設定w「主君は時の流れ」「絵画はもう鮮度を優先するところまできてるね」Aマッソ節を頑なに貫いた。

5、三四郎。相変わらず小宮のワードチョイス頼みだけど、俺は嫌いじゃない。「脆弱なボケしてくんじゃねえよ」「驚くべきしゃべり量」「耳の始まりを押さえるな」「爆笑であれ!」「故人かおまえ」酒のツマミにしたくなるようなワードが満載。

6、東京ホテイソン。一つ一つのツッコミにあえて大いに注目させるスタイルなので相当ハードルが上がるが、形式が奇抜なだけでなく、ワードがよく練られていてハードルを毎回超えてくる。今後が楽しみ。

7、アイロンヘッド。「お互いの独り言が全部聞こえてくる」という、コント師らしい良い設定のなかで遊ぶ佳作。ただ展開はけっこうおとなしく、後半にさらに大きな展開が見たくなる。

8、セルライトスパ。これもからし蓮根と同じく、面白いボケの粒はたくさんくっついてるんだけど、レンタカー屋という設定のありふれ感をかき消すほどではない。やはりとろサーモンを見た後だと、味わい・奥行き・こだわりの差に目がいってしまう。

9、囲碁将棋。毎回違うパターンを繰り出してくるコンビで尊敬している。予選でもやっていたネタだが、ダブルボケから文田だけがボケるスタイルに変えて見やすくなっていてよかった。目のつけどころも面白く、悪ふざけ感もいい。

10、天竺鼠。ツカミからして最高。川原の一言一句が、一体どこから出てくるのか、ソースがわからないw すべての物事の裏側ばっかりまわって、まだ見つかっていない笑いを引きずり出してくるような印象。もはや漫才師超えて魔術師の域。

11、霜降り明星。今年しょっちゅうやっている彼らの代表作とも言えるネタ。粗品のツッコミの絶妙なタイミングと、体言止めのワードチョイスは秀逸。「おまえ人殺したんか」のクリティカルヒットは何度見ても面白い。

12、見取り図。後半の「あたおか」押しは大好き。ここもツッコミがふざける感じがあって良い。ボケのリリーにもうちょっと色合いが出てくれば化けるコンビだと思うが。

13、ハライチ。澤部の演技と力技で独特の味を出していたが、「隣の人にしゃべっている」の天丼で押し切ろうとするのは少しきつかったか。後半岩井が一分くらいずっと黙っている勇気は好きだけど。

14、南海キャンディーズ。今回の敗者復活を見てもワード捻り型ツッコミの漫才が着実に増えている、その潮流の源の一つが山ちゃんであることは明らか。もはや彼らのネタがどうこうというより、南海キャンディーズが残した功績は計り知れない。

15、さらば青春の光。彼らが得意とする、漫才の作法を逆手に取ったような着想のネタだが、個人的には今回は少し導入でリアリティーがないなーと思ってつまずいてしまった。展開の幅ももう少し欲しかった。さらばだからこそ多くを求めてしまうんだけど。

16、大自然。正直、準決勝の順位、なんでこんなに上にくるのかな?と思ってしまった。最初に出て来たときはインパクトあってすごく面白かったけど、同じ鋳型のネタばかりで最近は食傷ぎみ。いろいろ試してほしい。

17、ニューヨーク。同じことの繰り返しなんだけど俺はちょっとハマったw どうしても壁を殴ってしまうという危うい人格をはらんだ感じが、なんか噛み応えがあって好きだった。

18、相席スタート。山崎の恋愛テクニックレクチャー形式で、ちょっと理屈っぽい感じがして爆笑はできなかった感。彼らのネタは恋愛ハウツー本的な要素が多いが、二人でそういう本を出したらけっこう売れるんじゃないか?w

19、スーパーマラドーナ。強いボケもあり、二人の素のキャラもうまく活かされており、構成もしっかりしていて、申し分ない。ただ、これは本当に酷な話なんだけど、「驚き」はない。俺は下手であっても、驚いたり戸惑ったりする得体の知れないネタの方が好き。