也田貴彦blog

おもに文学やお笑いについて。

キングオブコント2018 感想

ネタ時間が4分から5分に変更されたことで、大会の色合いが少し変わった。近年のKOCでハネたネタには歌ネタや天丼ネタが多かったが、5分となるともっとボケや展開のバリエーション、勢いの持続のさせ方に工夫が要る。必然的に、構成力のある組が台頭してくる。

個人的に一番面白かったのはハナコの2本目。コントの新しい価値観の提示を見た。絶妙な余白と人間味。しかしそれ以外のネタも本当にクオリティが高くて、さらば、ロビンフットあたりはあのネタで最終決戦にいけないのは本当にかわいそう。1stステージの3位ハナコ、4位さらば、5位ロビンフットはそれぞれ1点差。それくらい拮抗していた。昨年までのように5位まで最終決戦進出だったら、さらばとロビンフットの2本目も見れた。見たかった。賞レースの神様のいたずら。それも含めて面白い。


やさしいズ。ボケの演技うまっ。現代の若者っぽい良いキャラ。「劇団?」「工業出てるんで」とかも本来のフレーズの面白さを演技で倍加させてる。展開にもう少しダイナミズムがあれば。


マヂカルラブリー。ゲーム好きの野田クリスタルっぽい面白い設定。同じシチュエーションが続くのに単調にならずクレッシェンドしていくのがすごい。


ハナコ。シンプルイズベスト。犬の演技120点。「犬が犬らしくない」という捻り方が、松本人志的な違和感を生む近代的コントの王道とすれば、これは「犬がむちゃくちゃ犬らしい」という、あえて違和感を全く生まない面白さ。原点回帰というか、この古臭ささが新しいというか。


さらば青春の光。鼓舞するだけの人。さすが着眼点の雄。こんな設定どうやって思いつくんやろうと、毎回思わせるのが本当にすごい。哀愁も良い感じ。後半に予想外な展開かボケの上乗せがもう少しあれば。充分最終決戦レベルなんだけど、さらばだからこそ多くを求めてしまう。


⑤だーりんず。他の組に比べるとやや設定が弱いか。展開のレンジももうちょっと欲しくなる。その場にいない店長の存在感は良い。


⑥チョコレートプラネット。「教えろ」や「器具装着」のくだりを延々やっているように見えるが、「場所や名前を正直に教える」「知らない匂い・器具」「別人物登場」など多様で細やかなボケ・展開を乗せてるからこそ、天丼のバカバカしさが際立つ。かぶせとずらしのバランスが絶妙。


⑦GAG。いつものように福井の大げさなツッコミで笑いを取りに行くスタイルで、強いフレーズも多いんだけど、どうしても宮戸と坂本がレシーブ・トスに徹しすぎているように見える。三人いるのだから、アタッカーを誰に担わせるかで裏切りを仕掛けてもいいんじゃないか。


わらふぢなるお。客席の笑いの量はそうでもなかったけど、俺はすごく好き。「空質問」という一点押しだが、この不気味なディスコミュニケーションには文学性がある。メルヴィルバートルビー的な世界観。「これ店長の背中ですか?」も、こわおもしろい。


⑨ロビンフット。設定の小さな種を並外れたところまでエスカレートさせていくタイプのネタで、さらばの「ぼったくり」ネタに近い構造だが、年齢を判断する基準のチョイスがいちいち面白い。ツッコミの間・緩急もうまく、さすがベテラン。結びの音楽の使い方も完璧。


⑩ザ・ギース。さすがセンスのいい設定で引き込まれる。高佐が犯人だと分かってからの展開とボケに、もうひとこえバリエーションがあれば言うことなし。


最終決戦①ハナコ。見事。あえて説明しない余白の面白さに、青春文学的な味わいをミックスした世界観。ラストも余計なボケを入れたくなるのをぐっと堪え「女子、ムズー!」に繋げきる勇気。そう、人間はムズい。コントも小説も、人間のエッセンスがしっかり描かれている物が面白い。


最終決戦②わらふぢなるお。しょうもない超能力という設定は他に類を見ないというほどではなく、超能力の種類が乱発するのもちょっと軸が定まらない感。


最終決戦③チョコレートプラネット。要は「最先端の大工道具とは?」という大喜利の答えを並列的に配置する構造なので、どうしても単調に見えてしまう。