R-1ぐらんぷり2017 感想
Aブロック
渋谷と新宿のドラッグ→ドラッグストアからのこんにゃくゼリーワゴンセールへの脱線、静岡民全員テロリストの理由おもしろい。ただこのパターンならもっとたくさんの地域をいじってほしい。10分くらい欲しいネタ。
●横澤夏子
これも持ち時間の短さがかわいそう。一人芝居のうまさを見せるタイプの芸人さんはこの短さではなかなか伝わりきらない。母親のキャラはもっと癖があるほうが好きやなー、例えば同じシチュエーションで友近ならもっと激しいお母さんをやるだろうなとか思ってしまった。
すごくよく練られてるが、見せ方はこれが最良なのか?手数を増やすために矢継ぎ早にフリップ出す戦略だろうが、緩急をつけて特に面白いフレーズをもっとフィーチャーしてほしかった。「この計算方法びっくりするだろ?」とか相当面白いのに、もったいない。
「とうもころし、オッケーーー!!!」は最高なんやけど、なんか今日は全体的にテンションがMAXより若干落ちていなかったか?去年よりインパクトが落ちるのをツカミで逆手にとるのはうまい。勢いだけと言われようが、勢いだけを極めるのはすごいこと。
Bブロック
森ガール的なシチュエーションとゆりやんの出で立ちのアンバランスさは面白いけど、繰り出される断片的なあるあるとシチュエーションの関連がなさすぎて、そのなさすぎる感じがナンセンスでいいのかもしれないが、もうちょっと有機的な場面作りをみたかった。
「もしもジブリのヒロインぽい子が大阪に行ったら」という題目を忠実に演じていて好感。コントの基本形「もしも〜が…だったら」の強さを再認識。短い時間に序破急がきちんと詰まっている。不思議→不思議→掛布の遊びも良い。ただジブリを知らない人には伝わらない。
シチュエーション作り、ワードセンスともにすごい。「もっと歴史と距離置こう」「こんなんじゃ信長のとこ耐えられないよ」。序破急の破があればなおよかった。これも持ち時間がもうちょっと長ければ…
21歳モデル一人暮らし→人の金でゴルフしてる、みたいな偏見に満ちた決めつけは面白いんだけど、客のプロフィールを聞く部分で間が空いて、ひとつひとつが単発の笑いになるのが惜しい。占いの結果のところに笑いのポイントが集約されるのもなかなかハードルが上がる。
Cブロック
キャラクター造形の面白さもさることながら、音楽の演出がすごくうまい。この人が魅力的なのは、きっと本人自身が好きでたまらないタイプのキャラクターを素直に演じてるからじゃないかな。本人が楽しんでやってるのが伝わってくるもんね。
●マツモトクラブ
お得意の独白型ナレーションや、他人の音声を交えた奥行きのある物語空間。今回は哀愁の要素が薄めで、少し物足りなさを感じてしまったが、ネタに確固たる「らしさ」のある人なので尊敬している。
芸人さんのネタを見ていると、仮に自分が芸人になってこのネタを思いついて練習して、同じくらい面白く演じられるだろうか、とか考えたりする。それで言うとアキラ100%のネタは、僕には絶対にできない。ある意味、シルクドソレイユみたいなもの。僕は拍手する。
●おいでやす小田
「真に受ける」というテーマ一本で展開していく一人芝居。ショートストーリーとしての核がしっかり提示されていて、好きなタイプのネタ。これもルシファー吉岡と同じく、後半に大展開があれば言うことなしだが…総じて持ち時間の短さが惜しい。
ファイナルステージ
「でっかい剣持ってる系男子あるある」。ナンセンスすぎて俺は一本目より好き。展開もへったくれもない、構成的なネタへのアンチテーゼ。これも才能。
悲しいかな、キャラクター設定と笑わせ方が一本目と変わりばえせず。ジブリありきの設定にこだわらず、演技力ありそうなのでいろんなキャラクターを試してほしい。
プロフェッショナル。何がすごいって、この芸を極めようとして心折れることなく練習を重ねる、その倒錯した意気込みがすごい。アホなことに真剣に取り組む見本。
今回はネタ時間の短さが特に気になった。3分に起承転結を詰め込むのはなかなか難しい。インパクト重視のネタが強くなるのは必然。M-1のように4分あればもっとR-1の包容力が上がるはずだが。