也田貴彦blog

おもに文学やお笑いについて。

【旅行記】長島温泉、なばなの里

6月8日。近鉄特急で桑名へ。一つ前の駅の四日市を通るときはどうしても四日市ぜんそくというフレーズを思い出してしまい、その色眼鏡もあるのかもしれないが、車窓から見える工場の煙突からのたくさんの煙が気になる。桑名到着後は駅から三重交通バスでホテルナガシマへ。

 

長島リゾートには、ナガシマスパーランドや長島温泉、オフィシャルの三つのホテルやアウトレットモールがぎゅっとまとまっており、さらにそこから8kmほど離れた場所には、ベゴニアガーデンや冬場のイルミネーションで有名ななばなの里がある。このなばなの里には日帰りで何度か来ているのだが、温泉含め他の施設に来るのはたぶん初めて。細い道路を慎重にのろのろ進むバスで30分、長島リゾートに到着。バスターミナルで福山雅治のhelloがかかっており、この時代錯誤な感じがいかにも地方のレジャー施設っぽくていい感じ。

 

チェックイン時間がまだだったのでホテルから歩いてすぐのアウトレットモールへ昼食を食べにいく。全く予備知識がなかったのだがこの長島のアウトレットモールが巨大で、すごい人だかり。とりあえずフードコートで名物の「四日市とんてき」を食す。味付けはやはり名古屋寄りで、濃い味のソース。その後いろんな店を覗きながらウインドウショッピング。子ども連れがすごく多い。どちらかというと子どもより親が買い物を楽しみたいんだろう。盛大に泣いている子どもを見ると、服なんか興味ないぞ、こんな人の多いとこ連れ回しやがって、という親への抗議を猛烈に叫んでいるようにも聞こえる。まあしかし子どもはナガシマスパーランドで遊べるし、両親はアウトレットで買い物ができるので、考えてみればよくできたリゾートだ。寒くなってきたこともありジェラートピケで嫁も自分も上着を購入。数少ないがメンズの服もある。

 

ホテルナガシマへチェックイン。部屋で少し休憩して温泉に入りにいく予定が、なんと2時間昼寝をしてしまう。旅に来ておいてこの時間の無駄遣い、と後悔しかけるが、まあ旅なんて自分のペースで疲れが残らない程度に楽しむのが一番なんだから、と一瞬で気を取り直す。夕食の時間になってしまったのでバイキングへ。はまぐりのお吸い物。サザエのつぼ焼き。美味なり。伊勢うどんを初めて食べたが、濃い味の出汁で、うどんはやたら太く粉のかたまりといった印象。まあ旅先のご当地グルメとして食べるのならいいか、くらいの感じ。

 

夕食後、またバス停へ。かかっている曲は安室奈美恵のsweet 19 blues。期待を裏切らない90年代ソング。バスでなばなの里へ。この時期、夜はホタル鑑賞ができるのだ。2年前に来たときはほとんどホタル初鑑賞だったので感激した。宮本輝の「蛍川」のラストシーンのような「はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱(おり)と化し、天空へ天空へと光彩をぼかしながら冷たい火の粉状になって舞いあがっていた」、とまではさすがにいかないが、それでも何百匹もの蛍が見られる機会というのはやはり貴重だ。この日は19時半頃から川辺でスタンバイ。空の星や飛行機を指差して、「あ、蛍」というしょうもないボケをかます人が、俺を含め何百人もいるんだろうななどと考えながら待っていると、とっぷり日の暮れた夜8時すぎ頃になってようやく現れ始めた。

枝葉の陰でひっそりと瞬く蛍。枝から枝へ飛び移りながら自分の光を川面に映す蛍。二匹が並行して飛びながら少し離れしばらく向かい合ったりするのは両想いのカップルだろうか。静かに水草を飛び離れた一匹が、滑らかな曲線を描くようにしてゆっくりと夜空の高みへ昇っていく、そんな姿にはつい見とれてしまう。指に止まってくれたりしないものかななどと思っていると、見知らぬ小学校高学年くらいの女の子の手の甲に蛍が一匹止まっていた。しかもその蛍はくっついたまま全然飛んでいかない。「熱に弱いから、人間の体温で弱っちゃって、飛んでいけねえんだよ」と、弟らしき男の子に説明していた。「止まった以上は、こっちから飛ばしてあげないと、もう飛んでいけねえんだよ」蛍についての知識力もさることながら、そのぶっきらぼうな男みたいな喋り方が頼もしくてぐっときた。

 

ホテルに戻ってから、併設されている温泉施設「湯あみの島」へ。透明のアルカリ泉、充実の露天風呂に大満足。炭酸風呂はちんこの先端や金玉の裏がひりひりする。ジェットバスは立ったまま入る深い風呂で、ボタンを押すと腰をほぐすためのけっこう強力な泡が背中側から噴射されるのだが、押すボタンをいろいろと間違えてしまい、前からも後ろからも横からも、同時に様々な方向からの強力噴射に見舞われることとなり、ひとりで軽いパニックに陥った。湯上がりに売店でクーリッシュ(バニラ)を買い、喉と胃袋を冷やす。部屋で少しテレビのバラエティ。ベッドで30分ほど読書、イアン・マキューアン「贖罪」。就寝。

 

2日目。7時半起床予定だったが8時に起きて朝食バイキング。粥に薬味を入れすぎてやたらしょっぱくしてしまう。クロワッサンとロールパンなど。午前中は再びなばなの里へ。園内の植物を見て回る。都会でしか暮らしたことがないこともあって、花を見ても種類がとんと分からない。このまえ家の近くを散歩していたときに、建物の花壇に咲いている花を見て「これ何の花?」と嫁に聞き、ツツジだと教えてもらったのだが、ツツジがどんな花か知らないなんてありえない、と嫁は信じられない様子だった。そんな植物に対する驚異的な無知を誇る俺は、こういう場所に来ると新しく知ることだらけなのですごく刺激的で楽しいのである。

 

好きだった花。

まずは紫陽花3連発。品種名は、上からダンスパーティーピンク、ジューンブライド、シティライン・パリ。紫陽花に関してはけっこう派手な色合いのものが好きかもしれない。

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こちらは以前から好きな、フクシア。小さい人形みたいな出で立ちで可愛い。

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コンロンカ。花弁が見事な星形。

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菖蒲はこういうちょっと紫が入っているぐらいのが好き。真白だとくしゃくしゃのティッシュペーパーみたいに見える。

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ちょっとびっくりしたのがこの花。コーカサス原産の「ラムズイヤー」。直訳すると「羊の耳」。葉っぱが細かい綿毛に覆われて、柔らかく弾力があり、その名の通り羊の耳のような触感! 綿毛のおかげで、雪がまばらに積もったように全体が白っぽく見え、なんとなく幻想的。

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もういちどホテルナガシマに戻り、温泉。たまたまお笑い芸人、流れ星に遭遇。お土産を買い、帰宅の途へ。